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ブログ-施設長の部屋

2022/11/30
認知症道中膝栗毛 第49話(MCI認知症)

MCIとは、英語の軽度認知症状の略文字です。

Mild Cognitive Impairment から頭文字をとって略語として使われています。

昨日、三重県連携型認知症疾患医療センターの一つ

一般社団法人 信貴山病院分院上野病院の病院長の講演を聴かせて頂き

このMCIの認知症に関して、適切な治療やリハビリを行うことで

30%強の方が軽度の認知症状から元に戻ると言うお話を聞きました。

やはり認知症も他の疾患と同じように、早期発見、早期治療が要かなと痛感するところでした。

しかし、先生のお話の中で、専門病院に受診相談にみえる方の大半が

認知症も中度の状態で受診されるそうですから

言ってみれば「すでに手遅れ!」の感はゆがめないそうです。

普段と違った様子、言動、顔つき等

少しでも今までと違うと思ったら、専門医を受診する方が良いですね。

なかなか認知症と診断されることを素直に受け入れることは難しいと思います。

しかし、真正面から受け止めて、適切なリハビリを行う。そして症状を改善させる。

そのように前向きに捉えて頂ければ、皆さんが恐れている『認知症』は遠のいていくのです。

そして、もしも認知症と診断をされたなら、ぜひ私共にご相談ください。

以前のお父さん、お母さんに戻ってもらえるよう努力します。

MCIのお話をするつもりが、自己PRになってしまいましたね?!笑

 

2022/11/26
認知症道中膝栗毛 第48話 (嚥下障害)

認知症だけでなく、人間だれしも高齢となると飲み込みに支障をきたすのです。

私自身、まだまだ若いつもりですが、食事時間以外にも「むせる」ことが多々ありまして

其の度に、必死に咳き込んでしまう。(この時って、結構苦しくって、”必死”な焦りがあるのです)

先にも書いたように若いから、気管支に入りそうなピンチに、咳をして吐き出す力は残っているのですが

これが、さらに年齢を重ねていくうちに、咳き込む力も低下していきます。

これが命取りとなりかねない物騒な状況なんです。

さて、その為に何をすればよいか?と言うと

うちの施設でも食事前に必ず行っている嚥下体操。

口を大きく開けたり閉じたり、発声練習もかねて声を出してもらいます。

両手で顎の舌の筋肉をマッサージするなど、5分から10分程度の自分一人でできるリハビリを行います。

これは、自宅でも実施して頂きたい。そして、

いよいよ飲み込みが出来にくくなり、すぐに誤嚥してしまうような時

うちの施設では、口腔ケア用のスポンジを凍らせて、お口の中を軽くマッサージする。

この冷たい処方が、めっぽう効果的でして、ぜひ、必要と思われる時には真似して頂きたい。

今朝のテレビの番組でも、臨終時の親に最後のアイスキャンディーを食べさせたところ

とても喜んでくれた!と言う話があった。

冷たい刺激は、高齢者の嚥下障害には、結構有効な手段であると考えられる。と言うお話でした。 

p30701571.jpg

口腔ケア用のスポンジが無ければ、写真のように濡れたガーゼを割りばしに巻いて凍らせる。それでも大丈夫です。

ただ、あまり口の奥まで突っ込まないように注意してくださいね!

2022/11/24
認知症道中膝栗毛 第47話 (他人のおやつを盗み食い)

認知症の人と一緒に暮らしていると、時として面白い光景に出会うことがある。

特にグループホーム等の入所系の施設に暮らす認知症の人達は

自分の世界に暮らす人たちだから、銘々が全てマイペースで暮らしている。

基本的には、時間を設定して、ある程度のスケジュールは決めているものの

そんなスケジュールなんてお構いなし。

施設では、昼食と夕食の間に、おやつの時間を設けているところも多いが、

事件は、こんなおやつの時間に発生した。

なんと、一人の入居者が、同じテーブルに席する入居者のおやつの饅頭をとって食べてしまった。

そればかりか、別の人のコーヒーカップの中身だけを自分のカップに移して飲んでしまった。

全て、その人たちがしっかりと覚醒していない状態の時に盗み盗りされてしまった。

そのような話が、今日のカンファレンスで紹介され、さて、どうすればよいでしょうか?と言う相談があった。

さてさて、相手が認知症の日糸ですから、盗み食いする行為に罪悪感も無いはず。

そして、聴くところによると、盗まれた方も、その行為に気付いてない!

そこで、私の答えとして、まず、そのおやつの時間と言う者を職員がどのようにとらえているか?が問題としました。

日常のルーティーンとして、時間がきたからおやつを配膳し、飲み物を提供する。でなく

しっかりと皆さんにおやつを食べる!と言う意識をもって楽しんでもらえるよう声掛けをしているのか?と言う課題

全員がしっかりと目を覚まし、これから美味しいおやつを楽しく食べる意識となれるような雰囲気づくり。

そして、全員が揃っておやつを楽しむ。

それでも、他の人から盗み食いされるようならば、職員が中間にはいって、入居者間のトラブルを回避する。

悪いことは悪いと、盗んだ人に理解してもらい、盗まれた方には、悪意あって盗んではない音を理解してもらう。

僕は、これがケアの醍醐味と思っています。

みんなで認知症の人を理解し、その上で生活していく支援をする。

難しいようですが、少し多面的に看れば簡単に出来ることですね。

皆さん、これからは、認知症の人が困った状況とならないよう、事前におぜん立てをしっかりと行ってください。

2022/11/23
認知症道中膝栗毛 第46話(認知症ケアについて)

昨日、同業のグループホーム管理者と会話した話から一言。

僕の思う認知症ケアについて説明させてもらった。

僕の理想とする認知症ケアは、一言で言えば『緩和』です。

緩和と言えば、がんの末期患者の痛みや苦痛を和らげることと同じように思われるかもしれないが

認知症に関して言えば、苦痛、不安感を和らげることとなります。

認知症を患っても、癌のような肉体的な痛みはないですね。

其れよりも精神的な苦痛や不安感の方が大きいはずです。

しかし、認知症も経過年数によっては心身ともに重度となり

時として頻繁な医療処置を必要とするケースもあります。

例えば、点滴治療、胃瘻や経管栄養、人工呼吸器の設置などです。

要するに寝たきり状態となり、自力で栄養摂取や排泄が出来なくなってくるに従い

外科的な治療も必要となります。

これらは一般的に延命治療のひとつですが

僕は、この延命治療自体の必要性については反対の考えを持っています。

今、日本の認知症ケアは、自立支援だけでなく地域共生社会として

地域資源を公的、インフォーマルを含めてつなぎ合わせ、その人の生きる力を向上させようとしています。

人として生きることは非常に重要です。

ただ、生きる姿をどの様に共有ができるか?が、その人の周りの人にできているか?が大きな課題となります。

認知症をボケ老人と考えず、生きる事に不便な状態が出現してきていると考える。

私たちは、その不便さをお手伝いする。それがフォーマル・インフォーマルなサービスです。

認知症を患った人やご家族には、重度になった場合の本人が一番望む緩和の姿を考えて頂きたい。

どうすれば、苦痛なく、自然に人生を暮らすことが出来るか?

私たちの認知症ケアは、そこの点を大前提として万全の支援を実践していきます。

2022/11/21
認知症道中膝栗毛 第45話(認知症とコロナ)

新型コロナが第8波突入と言う、日本の状況は、認知症の人にとっては非常に恐ろしい。

何故、恐ろしいかと言えば、この感染拡大によって、さらに人と会う機会が制限される。

人ととの交流は遮断され、ただでさえ一人ぽっちの毎日が

さらに寂しい毎日となって、そして、そのことがしっかりと自分の中で理解されない。

ひょっとすると、私って、皆から嫌われてしまった?

ひょっとして何か気に障ることでも言った?

なぜ、だれも私の周りに来てくれないんだろう・・・?

そんな環境は決して良くはありません。

入所系の施設においては、このような状態ですでに3年。

これからお正月を迎えると言うのに、更なる孤独な年末を越さなければならない。

勿論、認知症の人がコロナに罹患すれば更に隔離と言いながらの「拘束」が行われます。

マスクつけて、始終、手を洗い、消毒することが出来なく、

ましてやゾーンニングなんて理解できないわけですから

必然的に居室または特定の部屋に閉じ込められてしまうこととなります。

今では、皆さん、ワクチンを4回も、早い人では5回目のワクチン接種を終えた方もみえます。

ワクチンによって症状が軽く、辞退を理解できないから外に出ようとする。

この現場の状況において、ある意味「隔離」=「拘束」はやむを得ない状況となります。

介護する側からすれば、一人の患者のIADL(日常生活動作)の低下よりも

他者への感染拡大を防止する方向へシフトする。

僕は、この状況に対して、施設側だけでなく行政そのものも

新型コロナに対する考え方には大きな問題があると思っています。

感染拡大を予防しながら、健全な支援はできないものでしょうか?

誰もウイルスを持ち込ませない。その方法は無いのでしょうか?

その人の生活に接することとなる人々が、どの様に自分がウイルスに罹患しないことが出来るのか?

この点をしっかりと意識して、自分の責任を認識し、業務にかかること。

相手が目に見えない敵ではありますが、もう少し神経質であってもいいような気がするのです。 


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