今日も、相変わらず認知症の人と悪戦苦闘しています。(笑)
認知症の人と関わる術として、私たちは、その人の心に寄り添って
自己決定の尊重を目指すべきと学んできます。
認知症の人にもいろいろなタイプの人がいて
脳の器質の編成による認知機能の低下と合わせて
その人の性格や人生経験、その時の環境によって
認知症の人の訴える症状は変化します。
介護に携わる者すべてが、認知症の人の困った症状に悩み、苦しみながら
暗中模索状態の介護を続けています。
職員さんと話をしていると、いつも話題に上がるのが
そのような認知症の人のお世話にかかる困りごと相談が多いです。
そして、よくよく話を聞いていると、介護職員さんの悩みの根本に
虐待防止法や身体拘束回避の世間一般の鋭い視線を意識し
それらの規定や介護職員としての理念の板挟み状態が感じられるのです。
以前、僕は、うちの通所介護に通う男性利用者の困った症状についてご家族とお話をしたのですが
家族さんも施設側も対応のしようのない困った症状に
家族さんから「殴ったって下さい!」と言われたことがあります。
そして、その言葉を受けて、私からも「殴ったりますけど、いいですね?!」とお話したことがあります。
利用者の頭をはたくことは、虐待にあたります。告発を受けて刑事事件となる可能性もあります。
職員としては、実際に告発を受けることも恐ろしいですけど、
それよりも介護の現場で暴力に訴える自分に腹が立つ。介護職としての自尊心に傷が残ります。
これが一番恐ろしくて、一線を越えずに我慢して仕事を継続させているのです。
僕は、これは決して介護職員の精神的健康によくありません。
だからと言って、虐待を容認するつもりはありませんし、そのような行為が
介護施設で起こることは避けなくてはなりません。
しかし、ここで介護職員の皆さんに、殴りたくなる気持ちを理解してあげることは
管理者として、職員の上司としては理解してあげることが必須であると考えています。
相手を認知症の人だから・・・と言われてきましたが
認知症の人も、やはり人間です。人とつぃてお付き合いすること。
人としてお付き合いする中には、会う人,合わない人もあります。
好きな人も、嫌いなタイプの人もあります。
それでいいのです。嫌いな人として、どのように仕事を成立させていくのか・・・
そこが問われている気がします。
私の事業所は、ちっぽけなデイサービスと認知症グループホームの運営を行っています。
デイサービスでは、自立支援を目標に、できることはご自身で、できないことを支援する方式で
毎日の支援を行っています。中には、認知症の方も含まれて同じような活動に加わって頂いています。
認知症を患いながら在宅での生活を継続することは
ご家族の介護負担を考え、いろいろな点で医療や多職種との連携が重要となりますが
今現在、在宅または有料老人ホームを使ってみえる認知症の方は
概ね介護負担の少ない方が多いです。
介護負担の多い方とは、認知症の行動心理症状(BPSD)の強く出ている方をいいますが
もちろん、当事業所を利用される方々に BPSDが出ないわけではありません。
大半の方にBPSDが出現する時は、その原因に体調が悪い時、日中の活動が少ない時、
それと時期的なものも加わり、季節の変わり目などには、気圧の変化や天候不順等の環境面での違和感が
そのまま人tに正の肩を不安に陥れることから始まるようです。
さて、今日の話題は「認知症でない人」の困った点についてお話をします。
前置きにも書きましたが、うちの通所介護を利用される方で認知症を患ってない方。
言葉は悪いかもしれませんが、対応に苦慮する場面があるのですね。
対人援助を専門とする私ですが、それは認知症の人の対応よりもはるかに複雑で難しい現実があります。
決して、認知症の人を「物忘れの人」だから適当にあしらっているわけではないですよ!
誠心誠意、認知症の人に関わらせていただくと、その人なりに理解を進めることが可能です。
しかし、認知症を患っていない人は、誠心誠意、対応させていただいていても、その裏を問題にしたり
人間関係をさらに複雑にしてしまったり、相談援助業務の途中から逆切れされたり
私のスキル不足もさることながら、なかなかお互いの理解に結び付きにくいケースも時にはあります。
その人からすれば、正しい言動でも、周囲のものにすれば、迷惑千万のこともあるのですが
この状況を説明し、円滑な人間関係にするための協力を得られない事象。
どこの事業所でも存在するのかもしれませんが
なかなか難しいケースも世の中には存在します。(笑)
結論として、相手を傷つけないことを最大の目標として、
利用者さんの間に立って、すべての「矢」を職員が受け止める覚悟で
毎日、努力しています。(笑)
もう先月の出来事となりますが、「若年性認知症の丹野智文氏」を津の三重県総合文化センターにお招きしました。
アルツハイマー型認知症当事者として、全国のいたるところで講演活動をされている丹野さんと
講演終了後に焼き鳥屋さんで意見交換をさせて頂きました。
丹野さんは、40歳の頃に若年性認知症と診断され、勤務先の仙台ネッツトヨタ様の理解もあって
今でもネッツトヨタで勤務されています。
全国を股にかけて講演活動をされ、地元仙台においてもオレンジドアという認知症相談窓口の運営も
全てにおいて精力的に活動されています。
写真は、丹野さんの講演風景と、焼き鳥屋さんで、ほぼ出来上がってきた丹野さんとのツーショットを掲載します。
このブログと同名の認知症に関する冊子を作成しました。
太陽の家、ますずがわ神経内科クリニック、アクア薬局桜島店にて配布しております。
もちろん無料です。
この冊子は、認知症の人を支援する人、特に初心者の方々を対象に
出来る限り簡単に事例を含めて、認知症を説明させて頂いたつもりです。
この冊子を作るにあたり、例のごとく、版下校正段階で誤字、脱字、変換ミスが多く
校正に時間がかかってしまいました。
それでも、表題の『認知症道中膝栗毛』の毛が『下』になってしまっています。(大笑)
こんな状態ですから、全く話になりません。
医学的な文言については、真鈴川神経内科クリニックの真鈴川先生にお願いし
いろいろと必要な箇所にご意見を頂戴しております。
この冊子が、何かの役に立てれば幸いです。