久しぶりの丸子さんの登場です。ここ一週間というもの私のもう一つの事業の関係で、当施設から遠ざかっていたのですが、最近の丸子さん。相変わらず体調にお変わりなく元気に過ごして見えます。今朝がたも朝のお散歩に出かけられ、ものの30分程度、屋外のお散歩を楽しまれました。午後からは認定更新手続きの署名をおねがいして、少しだけですがお話をしました。
一週間の施設不在は、帰ってからの仕事の量が増えて、その分走り回ることとなって大変です。私は外でも朝から晩まで(深夜まで)仕事をして、帰るなり施設で仕事をして・・・・と、ひとりブツクサブツクサ呟くのでした。
こんな忙しい毎日の中、デイサービス利用者のご帰宅時間がきて、送迎バスを送り出した後に、グループホームの職員が相談に訪れた。
「施設長、少しご相談してもいいですか・・・・?」と職員さん。内心、ドキッとして(職員さんの相談と言えば、退職の話が多いので、その話題が脳裏を横切ります)まぁ、どきどきしながら、『良いですよ!』と言いながら話を聞く。
職員さんの話の内容は、丸子さんのことであった。最近、ダイニングに置いてある冷蔵庫から他者の食品を無断で食べてしまうらしいのです。丸子さんには、共有の冷蔵である事、他者の食品も一緒に保管している事などをしっかりと説明したにもかかわらず、自分の居室に持ち出して食べてしまうらしい。この職員さんは、真面目な子ですので、このような認知症特有の障碍に対する支援方法に迷っているようでした。
このようなケースは、認知症グループホームではよく発生する問題です。食品を食べるならまだしも、体に有害な洗剤や漂白剤までも飲んでしまうケースもあるぐらいですから、丸子さんの場合は、まだ序の口です。しかし、この職員さんの悩みに、ある程度のアドバイスを与えなければいけないので、私なりに考えた結果を話しました。
『まず、相手は認知症であることから、私達の持っている常識や観念を押しつけても定着しない事を理解したうえで、どのような支援が出来るかを考えなければいけないと思います。恐らく冷蔵庫をロックしない限り、いくら口頭で注意したところで、職員さんの考えは伝わりません。それよりも、食べてはいけないもの、例えば座薬や目薬、アイスノンなどの食品以外の物の管理にも注意が必要であること。冷蔵庫に余分な物を保管しない事。その上で、時として利用者のご家族が差し入れしたフルーツやらヨーグルト類の食品を食べてしまった場合には、その利用者のご家族に事情を説明し理解を得る事や最悪の場合は、丸子さんのお小遣いから同党の品を買って弁償する事。お互いのご家族に状況をしっかりと説明しながら、相互理解を構築するよう支援する。ことが私たちにできる支援であるのではないでしょうか?と話をした。
私は、冷蔵庫に鍵をかけ冷蔵庫を開けさせない環境や職員が血眼になって、他者の物を盗み食いする行為を見張る必要性は感じません。そんな味気ない環境にうちの丸子さんを置きたくないのです。体調管理に悪影響がある場合は、ある程度厳しい管理は必要になってくるかもしれませんが、そうでない限りは他人の物とか、自分の物とかに目くじらを立てるのではなく、もっと大きく見守ってあげる事が必要ではないかと考えます。