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ブログ-施設長の部屋

2009/10/6
太陽の家の丸子さん  Vol.21

久しぶりの丸子さんの登場です。ここ一週間というもの私のもう一つの事業の関係で、当施設から遠ざかっていたのですが、最近の丸子さん。相変わらず体調にお変わりなく元気に過ごして見えます。今朝がたも朝のお散歩に出かけられ、ものの30分程度、屋外のお散歩を楽しまれました。午後からは認定更新手続きの署名をおねがいして、少しだけですがお話をしました。

一週間の施設不在は、帰ってからの仕事の量が増えて、その分走り回ることとなって大変です。私は外でも朝から晩まで(深夜まで)仕事をして、帰るなり施設で仕事をして・・・・と、ひとりブツクサブツクサ呟くのでした。

こんな忙しい毎日の中、デイサービス利用者のご帰宅時間がきて、送迎バスを送り出した後に、グループホームの職員が相談に訪れた。

「施設長、少しご相談してもいいですか・・・・?」と職員さん。内心、ドキッとして(職員さんの相談と言えば、退職の話が多いので、その話題が脳裏を横切ります)まぁ、どきどきしながら、『良いですよ!』と言いながら話を聞く。

 職員さんの話の内容は、丸子さんのことであった。最近、ダイニングに置いてある冷蔵庫から他者の食品を無断で食べてしまうらしいのです。丸子さんには、共有の冷蔵である事、他者の食品も一緒に保管している事などをしっかりと説明したにもかかわらず、自分の居室に持ち出して食べてしまうらしい。この職員さんは、真面目な子ですので、このような認知症特有の障碍に対する支援方法に迷っているようでした。

 このようなケースは、認知症グループホームではよく発生する問題です。食品を食べるならまだしも、体に有害な洗剤や漂白剤までも飲んでしまうケースもあるぐらいですから、丸子さんの場合は、まだ序の口です。しかし、この職員さんの悩みに、ある程度のアドバイスを与えなければいけないので、私なりに考えた結果を話しました。

 『まず、相手は認知症であることから、私達の持っている常識や観念を押しつけても定着しない事を理解したうえで、どのような支援が出来るかを考えなければいけないと思います。恐らく冷蔵庫をロックしない限り、いくら口頭で注意したところで、職員さんの考えは伝わりません。それよりも、食べてはいけないもの、例えば座薬や目薬、アイスノンなどの食品以外の物の管理にも注意が必要であること。冷蔵庫に余分な物を保管しない事。その上で、時として利用者のご家族が差し入れしたフルーツやらヨーグルト類の食品を食べてしまった場合には、その利用者のご家族に事情を説明し理解を得る事や最悪の場合は、丸子さんのお小遣いから同党の品を買って弁償する事。お互いのご家族に状況をしっかりと説明しながら、相互理解を構築するよう支援する。ことが私たちにできる支援であるのではないでしょうか?と話をした。

 私は、冷蔵庫に鍵をかけ冷蔵庫を開けさせない環境や職員が血眼になって、他者の物を盗み食いする行為を見張る必要性は感じません。そんな味気ない環境にうちの丸子さんを置きたくないのです。体調管理に悪影響がある場合は、ある程度厳しい管理は必要になってくるかもしれませんが、そうでない限りは他人の物とか、自分の物とかに目くじらを立てるのではなく、もっと大きく見守ってあげる事が必要ではないかと考えます。

 

2009/9/28
勤務表を作成!

 私の唯一の重要な任務である勤務表作成の業務は、思いの外重労働で頭を悩ますひとつです。うちの施設では職員の希望するお休みを事前に聞いており、その希望日を取り入れて勤務表を組んでいます。職員の希望を聞く?!・・・なんで?そのような事を聞くの?と言われますが、私達の業務は24時間、365日体制で稼働しています。職員さんだって人間ですし、社会生活を行って毎日を過ごしています。そんな彼らの唯一の頼みなら、聞いてあげた言うというのが人の心かな・・・と思いつつ今まで来ました。しかし、しかしです! この日程調整が難しい。休日の希望日が重なる場合や、人員配置上の観点からも、職員さんの希望する通りに組もうとすればするほど、私の頭はフル稼働せざるえないのです。ただでさえ旧式の頭脳がフル稼働するわけですから、パンク寸前。それでも、月末には余裕を以って組み上げたいと必死です。

  人間、どこかで必死になる場面もないといけないのです。

 そう自分に言い聞かせて月末の勤務表作りに頭を悩ませています。

2009/9/22
イタリアのキャンディと言われ・・・・食べてはみたものの・・・・

dsc01815.JPGdsc01814.JPG  容器が可愛いでしょう!!

  このキッチュでノスタルジックな器が気に入りました。昔の日本で販売されていたようなドロップなるものを想像してしまい。ついつい購入しました。イタリアのキャンディーと言うのも、イタリア大好きの私には興味があって買ったのですが、中の黒いキャンディーを口に入れて・・・・・ううっ・・・・ぐえ!ってなわけで、苦~い、アブサンみたいな味がする!あまくな~い!変!って

本当に顔をゆがめてしまうような代物。ついでに、職員さんにおすそ分けしてみた。全員に差し上げて、一人は口に入れるなり奥歯で噛みつぶして最悪の事態を招いていた。9割の人は二度と食べたくないという感想でしたが、グループホームの入居者さんは、結構お気に入りで3粒、余分に差し上げました。

 正確にこの食べ物の味を解説するならば、匂は黒砂糖のようなにおいがします。一個は小さくて、写真のように黒く光っています。固くてキャンディというイメージそのままですが、口の中に入れて直ぐは黒砂糖のような自然の甘みがあるのですが、次に強烈な苦みが出てきます。同時にアブサン(昔のお酒ですが、フランスにも同じようなお酒でぺルノーってのがあります)のような香りがします。別に悪くもないのですが、口の中が異様な痺れが残りそうな強烈な味でいっぱいになって、口の中で溶かしてしまうのは、ちょっと遠慮します!って感じの物でした。写真を添付します。もしも興味のある方は、太陽の家の私の事務所までお越しください。一粒試しにどうぞ!

2009/9/21
丸子さんと散歩して思う事

dscf0059.jpg  dscf0218.jpg  

 今日は丸子さんと昼食前に一時間をお散歩に出た。近所の公園まで幹線道路を使って歩きながら思ったのが、日本の道路整備に関して、高齢者にはとても使い勝手の悪い設計である事を今更ながら強く思った。

 第一に、車道と歩道の分離が確実に実施されていない。

 第二に、歩道と車道の段差がきつすぎる。

      横断歩道を利用するにも、歩道から横断歩道に至るまでにかなりキツイ傾斜が存在する個所が多い。

 第三に、歩道の舗装表面が荒れていて(街路樹の根や歩道下を流れる巨大排水溝のための鉄製スリットタイプ固定蓋など)    

      車いすや杖歩行には転倒のリスクが大きい。

 第四に、歩道上に障害物が多い、例えば沿線沿い商店ののぼり旗や看板、歩道橋の支柱が設置され、歩道が極端に狭く

      なっていたりする。

 書き出せば限がないほど日本の道路事情の貧弱さが存在する。国土が狭く、古くからの入り組んだ敷地形状の中を区画整理出来ているところはまだしも、旧道の拡幅工事だけで対応している状態では、余裕のある歩道を確保する事も困難でしょう。ただ、高齢者に関わらず身体に障碍を抱える人々にとって、日本の道路を利用するには危険が多すぎるように思いますね。アメリカのような広大な土地で、街自体も荒野の中に新しく作られているような環境だからこそ、道路を中心に宅地開発は可能ですが、日本のように宅地開発が先に行われ、次に道路整備をする逆パターンでは、歩道の役目が侵害されていくのも分からないではないですね。

2009/9/19
太陽の家の丸子さん  Vol.19  息子はいくつになっても良いもんだ!

 今日は丸子さん、貯め撃ちです。一気にVol.18,19と書くこととなりました。

 敬老の日を挟んで全国的に大型連休の初日にあたる今日の土曜日。うちの丸子さんだけではなく、他にも実の息子さんが面会に訪れました。ちょうど入浴中だった丸子さんでが、普段だと入浴も渋るのですが、今回は偶然にも息子さん家族が訪れることは知らないはずなのにお風呂に入っていました。髪の毛もシャンプーして爽やかな雰囲気。ドライヤーで髪を乾かすのもジレッタイような様子で職員のドライヤーの風を受けていました。

 もう一人の利用者さんは息子さんに連れられて主治医の先生を受診。うちの栄養管理が良いのか、職員の努力の賜物か?患っていた糖尿病も改善し、後しばらくで血糖コントロール薬が不要になりそう!と先生に言われて帰ってきました。息子さんも大層喜んで、今後に期待したいと満足げ。

 二人の利用者さん、共に実の息子に会えて、さぞや嬉しかったのでしょう。息子さんが帰られた後も終始にこやかな顔でした。

 『丸子さん、今日はご機嫌だねエ!』と尋ねてみると

 「息子が来てくれたん!」と喜んだ声で答えてくれた。

 『いつ来てくれたん・・・?』と、わざと引っかけて聞いてみると

 「昨日・・・!」と言う返事が返ってきた。

 『・・・・・・・?』 ふにゃ?今日じゃあなかったっけかぁ・・・・??と思いながらも聞いてみた。

 『昨日来てくれたんかア・・・? 今日じゃアなかったの??』

 少しだけじっと考えていた丸子さんだけど、思い出したらしく

 「今日やったなァ・・・」と話す。

 それから二人でふざけて会話している横から、もう一人の息子の面会のあった利用者さん

 「息子はいくつになってもええなぁ・・・」と言った。

 「息子はええわア・・・・」と丸子さんもポツリと呟いた。

 二人とも本当にうれしそうな顔をしている。息子さんを見送る丸子さんを玄関のモニターテレビで見ていたが、僕は名残惜しそうで、何度も何度も手を振る丸子さんの後姿を思い出した。

 認知症高齢者の皆さん、グループホームに入っても決して幸せではない。家族みんなと一緒に暮らせることが一番幸せなのです。でも、一緒に暮らしていると家族が崩壊してしまうほどの問題も実在します。少しさみしい思いはするだろうけど、この関係が一番幸せなのかもしれません。小学校の国語の先生が教えてくれた言葉を今でも思い出します。「親」という漢字は、学校に出発する子供を親は木の上に立ってまで見送る。と書くんだよ!と言う言葉でした。


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