一昨日、僕は、信頼していた友を亡くした。
友と言うと、亡き本人には叱られるかもしれないが、僕よりも一回り若い建築家であり
うちの施設の改修工事やちょっとした修繕工事の相談に乗ってもらっていた人物である。
もともとは仕事がらみでお付き合いさせてもらっていた。
彼は車が好きで、僕は大排気量の派手なスポーツカー派、
彼は小さめのエンジンで個性的な車を好み、僕の好みとは一線を画していた。
昨年末にも所有するフランス車のエンジンが壊れた!と言いながらも
どうやって修理するか?を楽しそうに話をしていた。
普通の人(???)なら、何もトラブルなく、常にスイスイ動くのが「車」と考えるところ
彼は、手のかかる車ほど愛着がわく。そんなタイプの人だった。
彼の訃報を受け、自分自身の気持ちの中にポカーンと穴が開いた。
この仕事をするようになって、人が亡くなる場面には慣れているはずだった。
しかし、信頼し頼っていた人を亡くした時、自分の中に、何か取り残されたような寂しさが生まれた。
年齢を重ね、周りの人々が徐々に欠けていくとき
人は今の自分が感じているような喪失感をもつようだ。
自分と重ね、自分の最期を意識するだけでなく
急に何の前触れもなくやってくる、このような別れは
次第に社会から疎外されていく高齢者にとって大きな痛手となりそうである。
人は生まれた時点で、死を最終到達点として生活を継続していかなければならない。
いよいよ、そんな最終ステージに近づいた気持ちがどこか心の隅にある。
僕以上の高齢者で、今現在も生きている人生の先輩たちよ
皆さんの心の隅にある「痛み」を、僕もそろそろ感じ始めているのですよ。
その人の心に自分の思いを添える・・・なんとなく理解できるようになってきた。
「レカネマブ」という薬剤名は、結構一般の方々にも浸透しつつあると思いますが
昨日の夜、鈴鹿市文化会館第二研修室にて、真鈴川先生による新薬の講演会が行われた。
「ケアスタッフのための早期認知症後援会」として
「認知症の新しい治療とは?~早期アルツハイマーについて考える~」
一昨年、大いに注目を浴びた認知症新薬の今現在の治療の進捗状況を含め
認知症初期から重度化する過程を、脳細胞の変質から学ぶというお話でした。
ご存じのようにレカネマブは、非常に高額な治療薬であり、その薬の適応を受けるにあたり
いろいろな検査を必要とするのですが、開発から一年が経過する中で
少数ではあるのですが鈴鹿市においても、治療を開始しているそうだ。
治療費に関しては高額治療費への補助が出るため、患者負担はその人の所得に応じてかなり負担減となっているようだ。
但し、このお薬は現段階でアルツハイマーにだけ適応することからアミロイドPETの検査は必須で
MMSEテストにおいても22点以上あることが条件となる。
そしてこの薬の副作用として、一部の人には微小ではあるが脳出血の可能性も言われていることから
それらに対する検査も必要ということである。
結果的に、希望者すべてに適応できない場合もあるらしい。
そして、一番肝心かなめの効果については、2週間に一回の点滴での薬剤投与を18か月継続することで5.3か月アルツハイマー発症を遅延させることができる。
36か月継続することで8か月の遅延につながるというお話だった。
この薬剤の適応を受けるにあたり、真鈴川先生としては70代のMCI又はプレクリニカルな方々に受けてもらいたいと言う。
薬剤の投与期間と価格、そしてそれから得られる効果をどのように理解するかは人によって異なるわけで、
僕個人的には、そこまでのつらい検査を行いながら、定期的な点滴治療を継続し、その間3か月毎に脳のMRI検査をうけるってのは
どうしても二尾足を踏んでしまう。しかし、真鈴川先生や当日の受講者の大半は、僕の思いとは違って多くの者が治療役を試してみたいと言う。
いずれにせよ、人生長く生きれる時代となり、食生活や生活習慣もかわり認知症発祥のリスクは
次第に高まりつつある時代。今はアミロイドβの蓄積を除去するだけの新薬ではあるが
今後は多雨の除去を実現できる新たな新薬の開発も近いそうだ。
あと数十年もすれば、認知症は治せる病となるのかもしれない・・・
若い皆さんは、このような感覚に陥ったことはないだろうか・・・?
今日、僕は車に乗って銀行に出かけた。
銀行の駐車場枠に自車をバックで入れるために、ゆっくりと後退し輪留めに当たったのでブレーキを踏んだ。
ちょうどその時、真隣りに止まっていた車両が前進し始めた。
前進する隣の車が資格に入ると同時に、僕は自分の車が後ろに動き続けている感覚に襲われた。
思わず、ブレーキペダルを強く踏み、必死で車を停止させようとしている自分がいた。
実際の駐車場での出来事は、僕の車は所定の枠内でしっかりと停止。
隣の車がゆっくりと駐車枠から全身で出ようとしている。
ただ、それだけの事だけど、僕の脳の処理能力が加齢とともに衰え始めているのか、
非常に妙な感覚に陥てしまったのである。
高齢ドライバーがアクセルとブレーキを踏み間違えて事故を起こすケースを耳にする。
若いころには、ありえない!ような状況も、年齢と共に目の錯覚、足の感覚、脳の処理能力の衰え等
いろいろな部位の能力低下によって、普段できていることが突如としてできなくなることがあるのです。
この一瞬の出来事にも感じた「世の中の時空がよじれるような感覚」ってのは
認知症の人が感じている違和感に近いのかもしれない・・・
2025年1月 皆様あけましておめでとうございます。
本年は、昨年末より取り掛かりました施設改修工事の第二期工事にかかります。
施設本体の屋根、外装、そして非常用避難スロープの新設がメインの工事となります。
昨年同様、事業運営しながらの同時着工ですので、いろいろと利用者の皆様には
ご迷惑をおかけすることとなります。
施設の改修同様、施設内での介護スキルの改修、向上も同時に目指していきます。
同課皆様のご理解とご声援をお願いいたします。
本年度の事業計画をお知らせ欄に公開しました。
お時間ありましたらご一読願います。
重ねて、本年もよろしくご指導ご鞭撻のほど、心よりお願い申し上げます。
総括施設長 玉田 浩一
有限会社アルファルファアンドカンパニー
太陽の家
2025年度 事業計画
≪ 基 本 方 針 ≫
2023(令和5)年10月1日現在の全国の高齢化率は29.2%であり,2025(令和7)年には,いわゆる団塊の世代が75歳以上となります。75歳以上人口は2055(令和37)年まで,要介護認定率や介 護給付費が急増する85歳以上人口は2060(令和42)年頃まで,増加傾向が続くことが見込まれています。同様に認知症を患う高齢者も増加していきます。この流れの中で、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、地域共生社会の実現を推進するための認知症基本法が制定されました。認知症基本法では、高齢者人口がピークを迎える2040(令和22)年頃を見据えて,世代や分野を超えてつながる地域共生社会の実現に向け,介護予防・日常生活支援総合事業の充実や介護情報利活用の推進のほか,介護人材の確保や生産性の向上を図るなど,持続可能な介護保険制度を目指しています。また,高齢者単身世帯や85歳以上人口が増加する中で,医療と介護の両方のニーズを有する高齢者が増加しており,医療・介護の連携の必要性が今まで以上に高まっています。今後の認知症に対する施策の充実に合わせ、介護保険事業所としても適切に対応し、支援の拡充を目指さねばなりません。
≪ 具体的な運営方法 ≫
地域密着型サービス事業所として運営推進会議の定期的な開催をつうじ、地域社会との連携と情報共有を目指してきました。今後、認知症基本法(※添付資料1参照)を基軸に据えた運営の拡充を行ってまいります。また、職員の認知症に関するスキルと知識の向上は、一部オールドカルチャーからパーソンセンタードケアに移行できないケアも散見され、本年度の具体的な事業改革の最重要課題としてすべての職員が、認知症の人への処遇改善を行えるよう指導、教育の機会をOFF-JTを含め啓発していきます。
また、職場の就労環境の改善は、常に実施され離職者を無くし安定した介護量を継続的に維持できるように労使ともに協働できる施設運営を目指します。
次に認知症の人の接遇における意思の疎通困難に伴う暴言・暴力や虐待、身体拘束の全ての廃止を宣言します。福祉サービスの提供を実施している事業所として、多種にわたるハラスメント等、コンプライアンスの遵守を徹底させます。社会全般における多様性は、事業運営に対し、様々な対応力を求められる時代となっています。東南海大地震や巨大台風等、自然災害への対策とそれらの災害から、どのように利用者様並びに職員の生活を守り、事業を継続していくのかが問われています。BCPの確立と周知徹底と備えを充実させ途絶えることのないサービスの提供を実施します。
この地域での認知症を専門に運営を行う法人として、地域の認知症の予防、相談体制の充実と整備、保健医療サービスとの連携強化を行いつつ、認知症の人であっても尊厳をもって自分なりの生活を送れるよう支援を行います。
一. 身体拘束・虐待の撲滅
施設利用者様並びに同僚職員への虐待、ハラスメントの一切を行わないことを宣言します。認知症を伴う高齢者を含め、弱者へのいじめ、暴言、暴力及び身体を拘束する行為を無くします。認知症を学び、理解を深めることで退陣援助における虐待行為を無くし、認知症の人の尊厳ある暮らしを守ります。特に認知症の人を下に見下したり、意思の疎通ができない者として命令口調で指示したり、強制的な行動指示は、絶対に行わないこととします。施設を利用する方々を支援する私たちの業務は、時間に縛られた介護業務ではなく、日々の生活をその人の思うように支援することです。職員の都合で強制することは一切行わないこととします。
二. 守秘義務
すべての人が安心して日々の生活を過ごす上において、個人の情報の拡散、間違った評価の流布や比喩などがSNSの普及や社会秩序の変化により以前にも増して大きな影響を及ぼし、同時に個人が認識できる範囲を超えて拡大し、関係する人々や事業所等を傷つけることが増加してきています。特に私たちが業務上知りえた情報の扱いに際しては、人の心も傷つけることを特に注意し配慮することが必要です。私たちは対人援助、弱者救済を行う者として、特に情報管理を間違え、漏洩することに対し、常に敏感・繊細であるよう努力していく責務があります。すべての職員は、この点を考慮し情報管理に務めます。
三. 非常時への備えの徹底
東南海地震発生の可能性高まる中、非常時における入居者の命を守り、生活を維持するために常に災害時を考え、ともに命を尊ぶために訓練し、非常時に備えるシステムを施設全体で構築します。大規模災害を被災することを想定し、施設入居者だけにとどまらず職員や地域住民への配慮と協力を惜しまず実施できる体制を整えます。また、普段から地域とのかかわりを密にし、非常時の協力を仰げる関係性の構築に務めます。
四. 職員の資質・スキル向上
認知症の人の支援方法は、ここ数年で大きく成長しました。当法人にとっても、この認知症基本法成立から今まで以上のスキルアップを目指し、認知症の人の日々の生活を変えることができるよう精進します。そのために施設内・施設外を問わず研修への参加。自己研鑽を常に念頭においた学びを継続していきます。国家資格取得を目指すことも必須課題として、今現在所有する資格をさらに磨きながら更なる高いスキル取得を目指します。
五. 共生社会構築に向けた活動
地域共生社会構築の第一歩として、法人として地域にオープンな事業運営を行うこととします。運営推進会議、認知症カフェの開催や地域への小さな活動を行いながら、地域社会の理解を深めていきます。そのうえで少しづつ地域住民との連携の輪を広げ相互協力を可能とする関係性を作り上げます。マンパワーに限りある小規模事業所ですが、自分たちから発信し、協力する姿勢を継続的に維持することが重要な課題と考えています。
① 相談体制の整備・・・認知症の人または家族等からの各種の相談に対応し、認知症の人の状況又は家族等の状況に配慮しつつ総合鉄器に応じることができる体制を作ります。
② 社会環境の整備・・・認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすための社会参加の在り方、他の人々と支えあいながら共生できる環境の整備を目指します。
③ 認知症の予防に向けた活動の実施・・・早期発見・早期診断及び早期対応に向けた事業所としての活動と発信力を強化
します。
六. 医療との連携
当法人の協力医療機関との連携には、メディカルケアステーション(MCS)等を活用する主治医と時間的ロスなく支援を得ることができる状況にあります。医療従事者だけでなく薬剤や看護の面においてもシームレスな環境を維持できています。今後の課題として、医療との連携に際し、介護側に適切な医療の知識とスキルの構築が求められます。今後、MCSを更なる有効なツールとするため職員全体のスキルアップを目指します。
〇デイサービスセンターに関する事業計画
2024年の実績を崩さないよう新規利用者の獲得を目指します。月額延べ利用者数600名をめどに稼働率を上げること。また、在宅生活を維持していくため、通所介護の業務だけに捕らわれずに利用者の在宅生活を更に応援し健康で穏やかな生活を送るための協力を実施します。要介護高齢者にとって一年という時間を生きる抜くことの大切さを職員全体が認識し、体調の変化への気づき、早期治療に向けての連携を実践します。
職員間、連携する各事業所、機関とのスムーズで適切な連携を目指します。特に居宅介護支援事業所のケアマネジャーとの連携は常に密に行い、利用者にとってシームレスなケアとなるよう配慮します。
次に重要な課題として、通所介護利用者数の増加は、利用者間の人間関係のトラブルが存在します。基本的に利用者間での物の贈りあいを禁止しているものの、個人の人格や生活習慣も相まっていろいろな人間模様が作り出す葛藤などの混在する諍いには、事業所として真摯に取り組む必要があります。本年度の重要課題として、利用者同士のトラブルに発生する前の心のケアを実施します。
〇グループホームに関する事業計画
1ユニット9名のグループホームとして、入居者の健康を最優先課題として捉え、早期発見、転倒予防、医療との連携強化を行いながら隊長の変化に即応していく体制づくりを目指します。当事業所20年の歴史を振り返り、長期間の入居生活から時間に応じた心身機能の低下は致し方ないとしても、健康を維持する上においてもフレイルサイクルに陥らないよう快活な日々の活動と機能訓練を継続していく。すべてはご本人の意思の尊重ではあるものの、ご本人に健康を維持できるよう勇気づけ、行動力を増進できるよう働きかけることが重要であります。
次に巨大地震災害や施設内での火災発生時の対応について、BCPの活用と準備。そして常日頃よりBCPを職員全体で考える体制づくりを目指します。非常用滑り台を使った避難訓練等、防災意識を高め、災害に強い体質の構築を目指します。
グループホームで働く担当者として職員の高齢化は、年々、市内にある同様施設においても課題となりつつある今、当事業所においても介護者自身の加齢に伴う「できること、できないこと」をしっかりと精査し、職員にも無理のない業務の遂行を実施します。継続的に新人職員の募集は継続するものの、人材不足の時代でもあり残された人員の身体的負担をロボット等の投入や採用を検討していく時代でもあります。今後のICT活用には、今まで以上に幅広い見地で現場に即した改革を行います。
〇居宅介護支援事業所に関する計画
居宅介護支援事業所の専従ケアマネジャーが2名となり、稼働率が増加傾向にあります。しかしながら、認知症調査業務が行政の方針転換により減収となり、介護支援費が実際の利益に直結するようになりました。実質的に抱える利用者数により変動する売上を維持していくには、今まで以上にケアマネジャーの役割と活動量が大きな課題となります。時間内にいかに多くの要介護者の求めに応じ適切な支援に結び付けていくのかを認識した日々が必要となります。ケアマネジャーの心の負担に配慮しつつ、より良い支援を行うために事業所として最大の協力を実施します。
ケアマネジャーとして、今後の円滑な事業運営に於いては、ロスのない事業運営を心掛けるようにします。
※添付資料1 認知症基本法基本理念
① すべての認知症の人が、基本的人権を享有する個人として、自らの意志によって日常生活及び社会生活を営むことができる。
② 国民が、共生社会の実現を推進するために必要な認知症に関する正しい知識及び認知症の人に関する正しい理解を深めることができる。
③ 認知症の人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるものを除去することにより、全ての認知症の人が。社会の対等な構成員として、地域において安全にかつ安心して自立した日常生活を営むことができるとともに、事故に直接関係する事項に関して意見を表明する機会及び社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に確保を通じてその個性と能力を十分に発揮することができる。
④ 認知症の人の移行を十分に尊重しつつ、良質かつ適切な保健医療サービス及び福祉サービスが切れ目なく提供される。
⑤ 認知症の人のみならず家族等に対する支援により、認知症の人及び家族等が地域において安心して日常生活を営むことができる。
⑥ 共生社会の実現に資する研究棟を推進するとともに、認知症及び軽度の認知機能の障害に係る予防、診断及び治療並びにリハビリテーション及び介護方法、認知所の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすための社会参加の在り方及び認知症の人が他の人々と支えあいながら共生することができる社会環境の整備その他の事項に関する科学的な知見に基づく研究等の成果を広く国民が享受できる環境を整備。
⑦ 教育、地域づくり、雇用、保健、医療、福祉その他の各関連分野における総合的な取り組みとして行われる。
令和6年1月1日より当法人の事業計画として施行する。
有限会社アルファルファアンドカンパニー
代表取締役 玉田 浩一
三重県鈴鹿市西條町495番地の1