昨日、僕のアメリカにいる友人からメッセンジャーを使ってある質問がきた。
それには、日本ではアルツハイマー型認知症にCBDとTHCは使っていないのか?!と言う内容であった。
CBDとTHCって薬剤については、初めて聞いた事もあって、何のことを言っているのか
全くつかめないと返信し、早速、ネットで検索してみた。
つまりは、CBDとTHCってのは、大麻草から抽出される物質を取り出して
それをアルツハイマ―の人や、パーキンソン病の人に効果があるということで
アメリかのFDAが承認している薬物を言うらしいことまでは分かった。
CBDってのは、気持ちを安定させて落ち着かせる効果があり
これには覚醒症状と依存性がないために、日本でも輸入品が出回っているらしい。
しかし、THCってのは意識を高揚させる作用があり、依存性もあるために
日本では承認されていない。また、法的にも大麻取締法に抵触するらしい。
さて、何はともあれ、アメリかにおいては認知症の新薬として、ある製薬会社の開発した薬剤が
近いうちに日本でも承認されるという話である。
認知症となって中重度の患者には効果のない薬剤であり、非常に高額な薬剤でもあるので
これが一気に認知症の人を救えるとは思いにくい。
認知症の人の基本的な諸症状を受けて、本人が一番不安になり、その感情がもととなって
日常生活に支障をきたすことから、今の支援者たちは、認知症の人の抱える弱点を補い
その人の思いに添った支援を行うことにシフトしている。
人間だれしも年をとる。そして、長生きすれば、それなりに生きることに支障が生じる。
この生きるために支障となる部分を緩和してあげる、またはそこを補ってあげることで
不便だけど、それまでの生活に近いものは得ることが出来る。
僕は、認知症に対しては、お薬で抑え込む事より
生活支援をもって普通の生活をおくれるよう応援してあげることが
一番優先されると考えている。
認知症の人が基本人数9名で共に共同生活を行いながら暮らす施設に
グループホームが日本にはある。
当太陽の家にも1ユニット(9名を一つの単位としてユニットを構成している)
を持ち、24時間365日、認知症の人のお世話をしている。
費用的には、介護保険料の給付金(要介護状態に応じて費用は算出される)に
対して、個人の自己負担割合によって毎月の支払金額は変更となり、
そこに居住費、食費、医療に係る投薬代などを含んで月額の使用料が決まる。
介護保険から支給される額を含め、一人の認知症の人に係る費用は40万円から
50万円程が日本の全ての地域にある施設に支払われている額となる。
ただ誤解の無いように追記するなら、この40万~50万と言う額面には、
介護保険から支払われる額も含まれているため
個人が負担する額は10万~20万程度である。
この額が高いか低いか・・・?!は、此れから皆さんにお話しする
アメリカ合衆国の認知症の人の施設入所に係る費用をみて考えて頂きたい。
先般、訪問したアメリカ合衆国カリフォルニア州のサンタクララ群。
要するにシリコンバレーとして有名な地域にある。
認知症の人の暮らす施設の費用がネット上でも紹介されているが、
そこには一人月額$7,500~$12,600と記載されている。
日本円に換算して(今現在の為替相場$1=140円で計算)
1,050,000円~1,764,000円であり
ざっと計算した平均費用額が$10,050=1,407,000円。
介護保険制度もなく、医療保険制度も日本のような皆保険制度でもないアメリカでは
多額の資産や預金がない限り、このような施設入所は非常に困難である。
では、そこで行われている介護の質は?と問われるが、
給料が良いだけに、そこに集まるスタッフの知識とスキルは当然、
上質な者が多いのは確かである。
今、日本の介護の現場では専門的なスキルを求められつつ、
なかなか介護職の社会的立ち位置が欧米のような
専門職として認められていない点が、私としては介護職員に対して
社会全体が認識を改めてもらわないといけないと思っている。
特にアメリかでは、認知症の人だけでなく高齢者ケアを行う人々は、
医療ケアワーカー同様のステータスをもって認識されている。
アメリか程の給料はムリとしても、日本の介護保険制度も一律の給付額で、
決められた金額しか得ることが出来ない社会では
働くモチベーションもベクトルも働かないのも、ある意味当然である。