丸子さんにとっての今日はとても気分の悪い一日となった。
いつも通り、朝のお散歩から帰って、土曜日にいつもデイサービスを利用される三子さんと一緒にデイルームで午前中を過ごすこととなった。昼食も間近となりデイの利用者の大半が入浴を済ませてデイルームの席に着いた頃、そのハプニングは起こった。三子さんとは背中合わせに着席した丸子さん、一緒のテーブルのデイ利用者の方から声をかけられた。
「あんた!なんで、ここに居るの?」もちろん、それ程キツイ口調ではなかったように思う。
(私はその時の様子を直に見ていなくて同じフロアーの事務エリアのデスクで聞いていた。)しかし、この利用者は軟調傾向にある方で、普段より声の大きな利用者である。声のトーンとスピードによっては、非常に嫌味にも解釈できる言葉である。丸子さんは、その悪い方に解釈したようである。飲んでいた湯のみをテーブルに叩き付けるように置いて、自分の気持ちを表現した。
その丸子さんの対応を見て、もう一人の利用者は逆に怒りが爆発。テーブルの上に置いてあるアクリルの名札立てを持って力強く叩きつけ、職員に丸子さんの行動に対して訴えた。
「この人が、こんな事をするんや!!!」と二回ほどテーブルに叩きつけ大きな音を立てる。
周りの職員がさっそく二人の間に割って入り、喧嘩を食い止めたが、腹の虫の収まらない丸子さん。同様に湯呑をテーブルに叩きつけて相手の暴言に対して怒りを表現した。
これが一連の流れで、丸子さんも、デイの利用者さんも二人ともとても些細なことが原因で口論となったのですが、私は傍に居た職員の介入の仕方に反省をしてもらいたいと思っている。現場には二人の職員が着いておりながら何の手だても打てずにただ茫然と立ちすくんでいたのである。その様子を察した看護婦と相談員の両名が介入して二人の口論を諫めたわけだが、介護職員としては身体介護が主たる業務であるが、これらの人間関係の調整も介護職員の業務の一つである。
先を読み、現状を放置することでお互いの感情に傷を付けてしまった事は、介護する人間としては半人前である。適切な介入を行い、この施設内の人間関係を円滑に取り持つ事が役目であると考えるのである。
それと、認知症を患っていても感情は生きている証拠が、今回の事件である。認知症だから何をやっても分からない!ではなく、感情の部分は確実に残存し悲しみも憎しみも理解できるのです。私達高齢者介護、特に認知症高齢者を専門に接する者としては、この部分をしっかりと認識しないと、一人前には程遠い介護者と言われても仕方は無いです。
久しぶりの丸子さんの登場です。ここ一週間というもの私のもう一つの事業の関係で、当施設から遠ざかっていたのですが、最近の丸子さん。相変わらず体調にお変わりなく元気に過ごして見えます。今朝がたも朝のお散歩に出かけられ、ものの30分程度、屋外のお散歩を楽しまれました。午後からは認定更新手続きの署名をおねがいして、少しだけですがお話をしました。
一週間の施設不在は、帰ってからの仕事の量が増えて、その分走り回ることとなって大変です。私は外でも朝から晩まで(深夜まで)仕事をして、帰るなり施設で仕事をして・・・・と、ひとりブツクサブツクサ呟くのでした。
こんな忙しい毎日の中、デイサービス利用者のご帰宅時間がきて、送迎バスを送り出した後に、グループホームの職員が相談に訪れた。
「施設長、少しご相談してもいいですか・・・・?」と職員さん。内心、ドキッとして(職員さんの相談と言えば、退職の話が多いので、その話題が脳裏を横切ります)まぁ、どきどきしながら、『良いですよ!』と言いながら話を聞く。
職員さんの話の内容は、丸子さんのことであった。最近、ダイニングに置いてある冷蔵庫から他者の食品を無断で食べてしまうらしいのです。丸子さんには、共有の冷蔵である事、他者の食品も一緒に保管している事などをしっかりと説明したにもかかわらず、自分の居室に持ち出して食べてしまうらしい。この職員さんは、真面目な子ですので、このような認知症特有の障碍に対する支援方法に迷っているようでした。
このようなケースは、認知症グループホームではよく発生する問題です。食品を食べるならまだしも、体に有害な洗剤や漂白剤までも飲んでしまうケースもあるぐらいですから、丸子さんの場合は、まだ序の口です。しかし、この職員さんの悩みに、ある程度のアドバイスを与えなければいけないので、私なりに考えた結果を話しました。
『まず、相手は認知症であることから、私達の持っている常識や観念を押しつけても定着しない事を理解したうえで、どのような支援が出来るかを考えなければいけないと思います。恐らく冷蔵庫をロックしない限り、いくら口頭で注意したところで、職員さんの考えは伝わりません。それよりも、食べてはいけないもの、例えば座薬や目薬、アイスノンなどの食品以外の物の管理にも注意が必要であること。冷蔵庫に余分な物を保管しない事。その上で、時として利用者のご家族が差し入れしたフルーツやらヨーグルト類の食品を食べてしまった場合には、その利用者のご家族に事情を説明し理解を得る事や最悪の場合は、丸子さんのお小遣いから同党の品を買って弁償する事。お互いのご家族に状況をしっかりと説明しながら、相互理解を構築するよう支援する。ことが私たちにできる支援であるのではないでしょうか?と話をした。
私は、冷蔵庫に鍵をかけ冷蔵庫を開けさせない環境や職員が血眼になって、他者の物を盗み食いする行為を見張る必要性は感じません。そんな味気ない環境にうちの丸子さんを置きたくないのです。体調管理に悪影響がある場合は、ある程度厳しい管理は必要になってくるかもしれませんが、そうでない限りは他人の物とか、自分の物とかに目くじらを立てるのではなく、もっと大きく見守ってあげる事が必要ではないかと考えます。
私の唯一の重要な任務である勤務表作成の業務は、思いの外重労働で頭を悩ますひとつです。うちの施設では職員の希望するお休みを事前に聞いており、その希望日を取り入れて勤務表を組んでいます。職員の希望を聞く?!・・・なんで?そのような事を聞くの?と言われますが、私達の業務は24時間、365日体制で稼働しています。職員さんだって人間ですし、社会生活を行って毎日を過ごしています。そんな彼らの唯一の頼みなら、聞いてあげた言うというのが人の心かな・・・と思いつつ今まで来ました。しかし、しかしです! この日程調整が難しい。休日の希望日が重なる場合や、人員配置上の観点からも、職員さんの希望する通りに組もうとすればするほど、私の頭はフル稼働せざるえないのです。ただでさえ旧式の頭脳がフル稼働するわけですから、パンク寸前。それでも、月末には余裕を以って組み上げたいと必死です。
人間、どこかで必死になる場面もないといけないのです。
そう自分に言い聞かせて月末の勤務表作りに頭を悩ませています。
このキッチュでノスタルジックな器が気に入りました。昔の日本で販売されていたようなドロップなるものを想像してしまい。ついつい購入しました。イタリアのキャンディーと言うのも、イタリア大好きの私には興味があって買ったのですが、中の黒いキャンディーを口に入れて・・・・・ううっ・・・・ぐえ!ってなわけで、苦~い、アブサンみたいな味がする!あまくな~い!変!って
本当に顔をゆがめてしまうような代物。ついでに、職員さんにおすそ分けしてみた。全員に差し上げて、一人は口に入れるなり奥歯で噛みつぶして最悪の事態を招いていた。9割の人は二度と食べたくないという感想でしたが、グループホームの入居者さんは、結構お気に入りで3粒、余分に差し上げました。
正確にこの食べ物の味を解説するならば、匂は黒砂糖のようなにおいがします。一個は小さくて、写真のように黒く光っています。固くてキャンディというイメージそのままですが、口の中に入れて直ぐは黒砂糖のような自然の甘みがあるのですが、次に強烈な苦みが出てきます。同時にアブサン(昔のお酒ですが、フランスにも同じようなお酒でぺルノーってのがあります)のような香りがします。別に悪くもないのですが、口の中が異様な痺れが残りそうな強烈な味でいっぱいになって、口の中で溶かしてしまうのは、ちょっと遠慮します!って感じの物でした。写真を添付します。もしも興味のある方は、太陽の家の私の事務所までお越しください。一粒試しにどうぞ!