うちのグループホームのお話。
この女性は、典型的な認知症の高齢者で、記憶と見当識に障害を抱えている。
円背による前屈姿勢ではあるが、さっさと歩く。
自分で物を伝うように、さっさと歩く。
入居して6年。さすがに近年では歩行も不安定となり
時折、転んだりを繰り返している。
転倒は介護職員の悩みの種であり、介護するうえで一番の課題として恐れている事故の一つである。
さて、この女性だが、施設内の他者の居室に敷いてある畳の部屋に入り込むことがある。
他室訪問と言って、これも介護側からすると避けたいリスクの一つ。
居室の入居者からすれば、断りもなく他人が部屋に入ってくるのだから、当事者としては困ってしまうのも当然。
さて、他室訪問は今回の話題にはわきに置くとして。
ここで問題となって職員の中でも話し合いが行われたのことがある。
それは、他室訪問する女性利用者の部屋に畳を敷いて、畳の生活に変える是非についてである。
この女性、畳の部屋で座り込むと、自力では立ち上がれなくなってしまうのである。
下肢筋力の問題と円背による前屈姿勢を原因としてか
畳の部屋でゴロゴロするばかりで、起き上がれない。
この起き上がれない状態は『身体拘束』にあたらないのか???といった疑問が出てきた。
当然ご本人の意思に反して、介護者が立ち上がりの支援もせずに放置することは
身体拘束の中のネグレクトにあたる。
しかし、床でゴロゴロしていると店頭の危険性はない。
まさしく両刃の剣である。
そんな職員の疑問点が、昨日、僕の耳に入ったわけで
私なりの意見を伝えなければならない。
そこで、私なりの意見として、どちらを優先するにせよ
畳の上で起き上がることもできなく、ゴロゴロを繰り返さすって、
その人の自由を奪うことだけでなく身体機能の低下に結び付かない?という点。
いつも職員にお話しすることに、自分が年老いて認知症を患ったとき
歩きたいときに歩いて、どこかに行きたくなったら歩き始め、
何かを食べたくなったら冷蔵庫をあさり。と、自由に、気のまま、
こけることを苦にして動かさないより、自由気ままに動けることを望む!と思うのです。
畳でゴロゴロも最初は気持ちいいかもしれない。しかし、
時として尿意をもよおした時どうするのか?
円背があって天井を見て寝っ転がることができず、横向いて寝て何の楽しみがあるの?と考えてしまうのです。
出来れば定期的に立ち上がり訓練や、歩行訓練をやってくれるなら良いけど
そのまま放置され、食事時となってようやく車いすで迎えが来る。って生活はご免こうむりたい。
僕はそのように思うのです。
いつも働きっぱなしで健康な人たちにとって、一日の終わりに横になって体を休めるための畳ってのは最高だ。
しかし、毎日、何の目的もなく横になっているのは、完全に職員の都合によるものだと思う。