認知症の進行は、加齢とともにくる。
在宅生活を継続している高齢者の中でも、個人差はあるものの
確実に認知症は進行していく。
アルツハイマー病の進行緩和薬としてエーザイ㈱様の新薬も存在するが
なかなか一般市民には手の届かないお薬でもある。
さて、認知症の進行とは、身体が麻痺などで不自由になるわけでなく
物事を達成していく能力が衰えていくことが次第に表出し始める。
例えば、トイレの場所がわからなくなる。
物に対する認識が乏しくなり、まったく別の物に固執したり、場所の認識がなくなり不安になったり等
生活している中で、迷ったり、考え込んでしまったりと、なにかと一人では事を進めることが難しくなっていく。
脳細胞の器質変化がもととなって、考えて行動することが難しくなっていくわけだから
今まで生活できていた人が、そこに介助が入らないと生活を維持できない。
今は、行政を含めて認知症に対する考え方が変化してきて
以前のように認知症の人に対する思いやりが進んできている。
そして、早期発見・早期治療を推進してはいるものの
なかなか当事者にとって、認知症かもしれない不安な時に
わざわざ専門病院に出向いて、認知症の診断を受けたいとは思わない。
この僕でさえ、今、認知症の診断を受けるために専門医を訪ねるか?といえば答えは「NO!」となる。
結局、認知症は薬と環境で、何とでもなるといいつつも
いざ自分の身になると、認知症としての烙印は押されたくはなくなるのが人の感情というもの。
人は高齢になると自然と体力、技量、頭脳のすべてにおいて衰え始める。
どの時点で認知症の診断を受けるかは個人差があると思うが、
認知症として生きるために、本当に必要な支えは何だろう・・・・?
健康な年寄りでいたい気持ち。でも頭は衰える。
認知症となっても寄り添ってくれる人。
機能訓練でもない、時間つぶしのカラオケでもない。
はっきり言って、認知症の薬もいらない。
そっと、そばにいていくれる人。それが、認知症の人にとって一番必要な支えではないだろうか・・・?