この近辺のスーパーでも、ベーカリーでも、なかなかイギリス食パンやドイツ パンなどは販売していない。ましてや、イタリアのフォカッチャなんて、絶対に手に入らない代物である。元来日本人は、パンと言えば「コッペパン」からスタートしている人種で、戦後の品不足の折にアメリカの駐留軍が、日本人の栄養バランスを懸念して普及させたのがコッペパン。学校給食にさっそく取り入れられ、僕たちが小学生のころの学校給食には、毎食にコッペパンが付いてきた。そんな食文化の日本人だからか、食パンと言えば、真っ白でふわふわしたやわらかい食パンが好まれるようである。それでも、最近の健康意識の高まりからか、全粒とか五穀パンなどは販売されているが、欧米で人気のライ麦を使ったパンなどは、滅多とお目にかかれないのが現実だ。東京の紀伊国屋さんが、ネットスーパーを立ち上げており、かなりの種類の食品を通信販売している。僕も、たまにドイツパンやライブレッドなどを注文する事があるが、これらの欧米人が好むパンってのは、結構、ハード(堅い)タイプが多く、歯の弱い人には噛み切れない石のようなパンとして毛嫌いされる場合が多い様だ、現に、僕の周りで、これらの堅く、密度の濃いパンは嫌いと言う人が多い。
需要がないから供給もされない。商売の鉄則のような壁にはばまれ、近場でフレッシュな美味しい(僕好みな)パンは買えないのである。それでは、僕は、なぜふわふわ食パンが嫌いなのか?と言えば、あまりに柔らかすぎて食べてる気がしない。また腹もちが悪い。食べたすぐ後に空腹感を覚える。それと、トーストしても表面がフガフガで頼りない。バターをぬろうとしても、全体に広がらない。超柔らかなマーガリンなら兎も角、通常のバターの場合、まだらに乗ってしまうところが、どうも好きになれない。また、サンドイッチにしても、日本のサンドイッチには、パンの耳が切り落とされている。唯一、噛みごたえある部分が最初から切り落とされている。これは、犯罪である。言ってみれば、種を抜いてしまった梅干しのようなもので、お茶ずけの最後に梅干しの種をしゃぶる楽しみを取り上げられている事と同じなのである。
そんなパンの中で、いま一番はまっているのが先にも書いた「フォカッチャ」である。ローズマリーやヒマワリの種、ゴマなどを練り込んだり、岩塩をまぶして焼いたりと色々な焼き方があって、生ハム、サラミやチーズと一緒に食べると最高に旨いイタリア風サンドイッチとして僕の食欲を満たしてくれるのである。イタリアのパニーニは、結構有名だが、僕はパニーニよりもフォカッチャのサンドの方が好きだ。スライスしたフォカッチャにオリーブオイルを垂らして食べてもうまいが、チーズをかじりながら、ワインをお共にフォカッチャの昼食ってのが好きだね!
さて本題に戻ろう。日本人の好みからするとフワフワ食パンが良く売れる。指で押すと窪みが簡単に出来てしまい、手で圧縮するとペンペラの板状になってしまうようなパンなんだ。それは、安物のスポンジのようなもので、手で触るにもデリケートに取り扱わないとパンとは言い難い異質な食品となってしまう。バケットよりはロールパン、イギリス食パンよりはフワフワパン。う~ん???と考え込んでしまう日本人の好みの基準である。