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ブログ-施設長の部屋

2010/2/3
激動の昭和を彷彿とさせる喫茶店

先日、自分自身の国家試験受験のために名古屋市内に宿をとった。試験会場は名古屋市内であるにもかかわらず大事をとって栄に前泊することとした。事前に試験会場まで公共交通機関を利用して、ルートと所要時間の確認を行い、ホテルへの帰り道でふと見つけた古びた喫茶店。最近ではすっかりと姿を見なくなったタイプの喫茶店に興味をひかれ、中に足を踏み入れた。

 中年ではあるがソフトな人当たりのオヤジが迎え入れてくれた。店内は奥に深く広がり、昔良く見かけたビニールレザー張りのソファーとコーヒーテーブルがお行儀よく並べられており、個々の机には今どき珍しく灰皿と塩が置かれていた。店主の促しにしたがって好きな場所に席を確保し、腰を下ろす。長年にわたり使い込まれたソファーのクッションはヘタリが見られ、座面のフレームにお尻が当たる。要するに座り心地の悪い部類の椅子であった。

 店内には、私を除いて数名の地元のおじさんやおばさんが思い思いの場所に陣取り、世間話に興じている。店主も一人の常連客らしい女性と話をしながら、私の注文を待つ。そんな様子である。 名古屋の栄のど真ん中の路面店と言えど、昨今、勢力を拡大している外資系コーヒーショップの類に比べると、店内はうす暗く、窓もない、20年前のエアコンが音をきしませながら、暑い乾いた空気を放出している。あたかも、息切れする老体に鞭打って働く蒸気機関車のごとく。

 店主にホットコーヒーを告げ店の調度品を見回す。お~っ、徳用マッチの箱が置かれている。若者には徳用マッチなるものの存在すら知らない者も多かろう・・・。面白い!!!!マッチを燐寸と書いた大型マッチである。4面の側面全てがマッチをこすりつけるサンドペーパー様の紙の巻かれている奴である。タバコを辞めた自分には関係ないが、この店の常連客は、あの箱から一本づつマッチ棒を取り出して、その火でタバコに火をつけるんだろう・・・・。

 暫くすると注文の品が届いた。コーヒーカップ自体に厚みがあって、唇に触れる感触はやわらかく、重みの感じるカップである。芳香なコーヒー豆の香りが漂うカップの横には、小さなステンレス製のミニカップに入れられたミルクが添えられている。私が学生の頃に、若者の間でこのミニカップをキーホルダー代りにつけるのがひそかなブームとなった時代があった。そして、もう一つ、外資系のコーヒーショップでは絶対に見かけないゆで卵のサービス。

 そうなんです、入店してすぐ目についたテーブル上に置かれた塩が、このゆで卵のためだったんです。ゆで卵をテーブルの角にぶつけて、殻をむいて塩をかけて食べる。昔の喫茶店では必須のアイテムだったゆで卵。本当に最近では珍しい光景となってしまいました。

 名古屋の喫茶店は、全国に先駆けて喫茶店のモーニングサービスとやらを始めた歴史があるのですが、今でも市中に残る喫茶店では昔懐かしいコーヒーの楽しみ方が残っていたのです。

 座り心地の悪い椅子、暗い照明、偽物ばりばりの観葉植物、懐メロにちかいムード音楽のBGM等など・・・・今時の若者にはなじめないものばかりかもしれません。また、古っちィ~店かもしれませんが、私たちの年代からすれば、昔の自分たちの清秋のたまり場にタイムスリップしたような気持ちになりました。思わず、この店の店主の肩を抱き、頑張ってください!と言いたくなった自分であった。この日、二件隣りに回転していたスタバをチョイスせず、この店を選んだことにめぐり合いを感じた。


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