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ブログ-施設長の部屋

2013/4/1
認知症の人

認知症の人ってどんな人? ショッピングセンターで買い物する人の中に「認知症の人」がいても不思議ではない。元来、認知症ってのは病気ではない。認知症っていう症状をもつ人なのである。病気と言われるのは、脳血管障害であったり、レビー小体であったり、アルコールが原因とする脳障害であったり、いろいろな脳に影響を与える疾患が基になって記憶障害を引き起こしたり、人格が変容したりすることを認知症という。だから、癌とか潰瘍等のように疾患に応じて一律の症状をみせる病態ではないのです。認知症の人への対応の難しさの云われは、個別の疾患によって、そこに発生する病態が変化する点に家族や周りの人たちが、面食らうこととなるからなのです。

認知症を抱える人すべてが、単なる記憶の障害だけなら、接し方に苦労することもないのです。記憶を失うことは、生活に即、支障をきたすわけでもない。薬を飲むことを忘れても、お鍋に火を入れていることを忘れてお焦げの大量生産をしてしまうことも、息子の顔を忘れてしまうことも、家に帰る道を忘れてしまったとしても、そんなのは大した問題ではない。忘れていることを思い出させるのではなく、忘れたからできなくなった点を支えてあげることで、その人の生活は成り立つのです。

しかし、そんな細やかな支援に気づかず、行方不明になるといけないから家に閉じ込めておく。お焦げを作らないよう、強いては火事を起こさないようにガスコンロのガスを止める。等の予防的(・・・?)処置をとる。動くことが危険だから、成す行為すべてに責任をとれないから禁止する。今の社会では、まだまだ一般的に認知症の人となる高齢者を無能な人として捉え、すべての行為を封じ込めようとする思考から脱せないでしる。危ないから包丁を持たせない。子供に対すると同じように、けがしてもらっては困る家族や介護者の意向が最優先される社会である。もちろん、認知症の人は包丁で怪我しても良い!というわけではない。怪我も事故もない方がよいに決まっている。しかし、認知症でなくとも人間は(動物は)すべての自由を束縛することで、生きる力を摘んでしまうこととなる。生きる意欲がなくなることは、脳の活動も低下する。活動を止めてしまった脳細胞は死滅し始める。これが、認知症と言われる症状なのです。

認知症サポーター研修等で教えられる、働き蜂の世代が突如として定年を機に、仕事場から退く事により、認知症の症状が出始めるというではありませんか。まさしく活動を休止した脳細胞が死滅し始める瞬間でもあるのです。指先をこまめに使う訓練をする、生涯主体となった余生を過ごす。計算ドリルを行う。昔話に花を咲かせる。色塗りをする。このような能トレーニングと言われる作業を実施しても、認知症の予防にどれほどの影響力を持っているのだろうか?記憶力は、人によって機能の低下するスピードと段階が違う。90歳を超えても記憶力に衰えを見ない人もいる。逆に若くても記憶に障害を抱える人もいる。

要するに、人間が生きていくうえで障害を、どのように捉え、どのように障害をカバーしながら余生を過ごせるか?に関心を持つべきではないかと思うのです。もちろん、認知症からの回復は期待したいし、そうあってほしいのは誰よりも強く望んでいるのです。しかし、無意味な作業を押し付けられ、介護者の思い込みの支援を、受ける者の立場からすれば、そんな一方的な理屈がとおる介護の世界ってのは何なんだ?と反発したくなるのは当然ではないでしょうか!

漢字がわからなければ、辞書を引くことを進め、辞書を引けなければ一緒に文字を検索してあげ、家路が分からなければ案内しまたは方向を示し、もしもの時に他人に聞けるように住所を書いた札を持たせ、火事を起こさないように調理の時は付き添い、薬は管理を自分でできる限り行えるように一緒に区分けして、飲み忘れのないようなシステムを考えることで、いたって普通の生活が可能となるのです。僕は、世間一般の介護の専門職と言われる人々は、この欠ける点に着目して細やかな支援を可能とする介護を目指してもらいたいと願っています。

認知症の人を何もできない人と捉えず、私たちと同じ人間の一人であり、そこに暮らす市民であることを考える。その視点からすべてがスタートするのではないでしょうか。


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