最近の流行のように有名ホテル、デパートなどのトップが報道陣やテレビカメラの前で深々と頭を下げる光景を連日のように目にする。献立に表記された食材が使われていなかった事に対し世間は大騒動!確かに高級食材を使っているように見せ掛けて、実際は安い食材を使ってしまえば利益は増える。表示された文言を信じるしかない消費者を欺いている商法は如何!と怒る消費者。
連日の報道を見ながら思うことは、一連の騒動に対する業者側の姿勢にとても寂しい気持ちになってしまうのである。と言うのも、メディアを通じて謝罪する姿は儀式化しているように感じて仕方ない。もっと心を込めて謝罪せよ!とは言わないが、今の内に謝罪会見を行った方が、業者側が受けるデメリットは少ないと判断したとしか思えないタイミングでの謝罪ではないか?
今回の話題の主のであるホテルやデパートと言えば、私たちのような庶民とは縁遠い場所であり、稀に「自分へのご褒美」または「社会見学の一部」として利用する事があるかどうか・・・と言ったセレブリティな場所である。一生懸命働いて、コツコツ貯めたお金をもって、ご褒美として食べた高級料理が、実際は一般的に流通している冷凍入荷したエビだとすれば、誤表記でした。現場の認識が違っていた。と言った言い訳が通っていくこと自体がおかしい。
しかし、その反面、これらの一連の騒動に対して別の視点で考えれば、自分自身の調理技術では同じように加工して食事を楽しむことのできない消費者。長年の修行を通じて腕を磨いてきた調理師によって、付加価値を点けられた食品に対して消費者として欺かれた感情は言い過ぎではないかと思うところもある。
料理ってのは、素材だけでなく、調理技術、提供される器とサービス、食する環境などの複数の要素が織り交ざって価値が決まると考えている。素材がクルマエビでなく安価なバナメイエビであっても、クルマエビと同じように感じることができれば、それも一つの食に対する喜びと言えるのではないかと思うのである。
この騒動に対し、新たに法律を作って監視する体制を整えるなどを唱える評論家も多い中、僕はできる限り事業主が正当な価値観をもって顧客サービスを一から考え直すことが一番重要で求められるのではないかと思う。
介護の業界においてもコンプライアンスが叫ばれる中、細かな点をほじくれば個々の事業所にほころびが生じてくるかもしれない。収益を得ている以上、100%があり得ないという感覚自体は反省すべきであり極力の努力を行いながら100%に近づけていく姿勢を維持していかなければ、サービス受給者に対して申し訳ない。その意識を介護業界全体が持たなければならない。超一流と言われるホテル、デパート業界にしても、介護の業界にしても『商い』ではなく「心」を中心軸においた事業展開を重視していきたい。
今日のお昼は施設から抜け出して一人でとった。時々、ふらっと行くこともあるレストランで、案内された窓際の席に一人で座り、さっそくメニューを覗き込んで注文の品を品定めしてる最中。ふと隣の席の話し声が聞こえてきた。中年男女の会話であったが、やたらと表題の語句をよく使う。話の末尾には必ずと言って良い程、・・・・みたいな・・・が入る。
最近、よく耳にする言葉だけど、この表現ってボキャ貧を自ら語っているようなもの。もう少し、何とかならないものかと・・・他人の話を聞きながら首をかしげていた。