2010年の新しい年が明けました。
皆様、あけましておめでとうございます。旧年中にも増して皆様のご支援、ご鞭撻のほど心よりお願い申し上げます。
今年の正月は寒さも厳しく冬空の三箇日でした。天候まで厳しい経済状況の嵐に見舞われている日本の現状を露わに露わしているようですが、底知れない不況感とデフレ社会の暗いイメージばかりの報道に、ともすれば気持ちも暗くなりがちです。しかし、私達社会福祉を担う者として、制度ばかりに依存する体質こそ一番の問題であるように感じます。2000年の介護保険制度の創設は社会福祉の現場に市場原理を利用した提供できるサービスの研鑽と向上を目指して施行されました。儲からないから努力しない。ではなく、資本主義社会における健全な社会保障制度の一翼を担う気概をもった経営が、法人の種別に関係なく求められている時代であると考えています。
社会における営利法人の経営する高齢者福祉事業所は、慈善事業のイメージからは遠くかけ離れた利潤を追求するだけの組織ととらえられがちです。当然、過去にはコムスン問題など一部の企業による劣悪な介護実践は、正当な介護を実施する大半の介護保険事業所にとって大きな困惑と憤りを残しました。社会福祉は職員個人の知識とスキルは当然ながら、その施設を経営する事業主の福祉マインドによるところが非常に大きいと言えます。事業主の考え方一つによって、その提供されるサービスの質が決定されるとも言えるほどです。
私は、四年間の福祉大学での学びの中から、日本の社会保障の中の福祉を学んできました。歴史的な日本社会の流れの中の一つのページとして今の介護保険制度は本の10年の歴史しかありません。今後、少子高齢化社会や、日本社会の経済基盤が衰退傾向からの改善の無い限り、この介護保険制度自体も大きく変化しなければならない時がやってきます。医療と介護の連携が叫ばれ、地域連携を求められ、出来る限り社会に埋もれる資源を流用しながら今の制度の存続を目指してはいるものの、私達日本人の気質そのものが欧米型福祉マインドへの移行を困難なものとしているかもしれません。
介護保険制度の見直しにかけて今年は、更なる激論が繰り広げられる年となりそうですが、私達、小規模の介護保険事業を行うものとして、利用者一人一人のニーズに則した自立支援を目指し、高齢者に対して公平な介護サービスの提供に心掛けることが一番重要であり、その姿勢を継続する事が長期的な視野に立った日本の社会保障制度の成熟につながることと思っています。