健常者と違って、人は「認知症」となると、病院へ入院することが極端に困難となる。
うちのグループホームの利用者の一人が高熱とSpO2の値が低く
大手総合病院へ搬送となった。
患者には喘息の持病があり、痰の絡み、喘鳴も酷く
入院となった。
点滴治療と酸素の治療が始まったものの
点滴を自己抜去、酸素チュウーブも外す等の行為によって
家族の付き添いが求められた。
家族も仕事の予定が入っているため、実の親であっても
なかなか24時間付き添うことが難しいと嘆く。
グループホームの職員の付き添いを依頼されるも
グループホームとしても病院での付き添いはできかねる。
結果的にスケジュールの調整をつけながら、可能な限り家族の付き添いで対応し
適当なところで退院処置を懇願し、しぶしぶ病院は退院の許可を出した。
しかし、退院したものの完治していない以上、状態は繰り返され
退院直後から再度熱はあがり、SpO2は低下する。
家族としては、これ以上の入院治療は望まず
施設サイドとしても非常に困惑する事態となった。
認知症となり見当識障害や記憶障害を抱えた患者の治療は非常に難しい。
命を救うべく治療が実施できない。
身体拘束を問題視する風潮の中、医療の現場でも認知症の人の治療には
頭を悩ませている。同時に、介護の現場では医療を受けることのできない現状に
命を守る上のジレンマに苦しんでいる。